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当院の不妊治療

当院の不妊治療

当院の特徴

女性のからだが、本来持っている力を最大限に生かし、医療介入を最小限にとどめ、できるだけ自然に近い形での妊娠を目指す。これが開院以来、私たちが大切に持ち続けている治療方針です。
自然妊娠と同じ“毎月1個の卵“の成長を大切に考え、自然排卵(月経)のタイミングに合わせた「自然周期」、または「低刺激周期」での体外受精を行っています。

妊娠しやすい良好な卵子を得るため、排卵誘発剤の使用を必要最小限まで減らすことによって、より自然なリズムで育った排卵直前の卵子を採取し、心とからだに負担をかけず、自然に近い状態での妊娠を目指します。
そのために土曜、日曜、祝日を含めた、365日、年中無休の診療体制を整えています。

毎回の診察でホルモン測定と超音波検査を必ず行うことにより、当院では自然な状態での排卵日の予測が可能となりました。最新機器によってホルモン検査の結果は約45分で確認でき、そのデータをもとに最適な治療方針を立てることができます。
 
また、患者様のからだへの負担や痛みをできるだけ軽減するため、採卵時に使用する針や胚移植時に使うカテーテルを独自開発し、採卵針の先端部分には痛みを抑える工夫をすることで、出血量の軽減と痛みを和らげ、通常麻酔が必要な採卵も無麻酔で行うことを可能にしました。

治療のスケジュール

採卵周期

卵胞期管理

体外受精は、まず卵胞期の管理から始まります。
良好な卵子を得るためには、卵子が卵巣の中で成熟していく過程を重視しなければなりません。卵子の成熟に必要な期間は非常に長く、最後の2ヶ月間が特に重要となります。この間の卵子の成熟が乱されないように、私たちはできるだけ薬を少量に抑え、本来体内に存在しないホルモンであるhCGに関連した製剤を使用せず、自然に近い状態で排卵を促す独自の治療法を取り入れています。

医師による問診と内診、血液検査の結果で治療方針
が決定します

完全自然周期

月経3日目から排卵前までの薬を一切使用せず、排卵直前に卵胞が十分に成長したらGnRHa 点鼻薬(下垂体ホルモン放出ホルモン作動薬、商品名:スプレキュア、ブセレキュア)により卵子の最終的な成熟(排卵しても良い状態にすること)を誘起し、育った主席卵胞を採取します。
この方法は、年齢の若い方、月経周期が正常で卵巣機能に問題のない方が適応となります。

クロミフェン周期

完全自然周期にクロミフェンを加えることにより、排卵のコントロールが可能になり、複数の卵胞の発育が見込め、採卵率が向上します。
月経3日目からクロミフェンを使用して自然排卵を抑制するとともに、必要に応じて途中から少量のFSH製剤を併用し、からだが選択してくれた卵子を必要数だけ育てるようにします。排卵誘起は完全自然周期と同様にGnRHa 点鼻薬を使って行います。使用する薬剤の種類を考慮した上で量を極力少なくし、良い卵子を作ろうとする患者様自身の力を最大限に利用した、からだにやさしく、自然の摂理にかなった体外受精の方法です。

カウフマン療法

乱れた月経周期を修復し、本来の状態に整える治療です。
排卵誘発剤の使用や生活習慣の変化などにより月経周期が乱れ、良好卵子の採取が難しい方が最近、増加しています。このような方では前周期の古い卵胞が残り(遺残卵胞)、新しい周期の卵胞より早く成長してしまうため、採卵しても変性卵や空砲が多く見られます。遺残卵胞のある周期は良好卵が取れませんので、乱れた月経周期を修復し、正常な状態に戻す調節周期(カウフマン周期)が必要となります。
カウフマン周期では、黄体期および次の月経周期にピルを投与して遺残卵胞を一掃し、卵巣状態の改善と本来の月経リズムの回復を目指します。この方法により良好卵の回収率が大きく上昇します。

レトロゾール周期

レトロゾール(アロマターゼ阻害剤)は、女性ホルモンのエストロゲンを低下させることで卵巣に強い刺激を与えずに排卵周期を整え、複数の卵胞の成長を促す効果があります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者様は排卵調節がうまくいかないため、レトロゾールの服用による治療を行います。


採卵・採精

排卵直前まで発育した卵胞内の卵子を採卵針で取り出します。通常、数分で終了します。
一方、精子は採精室にて採取します。
当院では男性不妊の治療も行っており、射出精液中に精子がいないときは、精巣上体または精巣から直接精子を手術的に取り出すことになります。
詳しくは男性不妊のページをご覧ください。

クリニック独自の採卵針

私たちは1999年より採卵針の独自開発を行い、現在は以前の採卵針(17ゲージ)に比べ、痛みを約2分の1に抑えるように先端に工夫を施した細い採卵針(21または22ゲージ)を用いた採卵を行っています。針の先端部分の刃は特殊な加工をしており、組織へのダメージを最小限に抑えるように工夫されています。
この採卵針は痛みや出血も軽度なため、採卵のための全身麻酔は必要ありません。また、からだに大きな負担をかけませんので、採卵終了後の安静時間は15分程度で当日帰宅が可能です。

受精・培養・凍結保存

卵子と精子の準備ができたら、次は受精です。
卵子に多数の精子を振りかけて受精させる「体外受精」か、1個の精子を直接卵子に注入する「顕微授精」を行います。精子の量が少ない場合は顕微授精となりますが、それ以外にも精子の奇形率、運動率、過去の治療歴、卵子の状態などの状況や患者様の希望を踏まえて決定します。
受精した卵は体外で培養し、分割胚または胚盤胞まで発育させ、子宮に戻します。

顕微授精法(ICSI)

採卵した卵子に顕微鏡下で1個の精子を針で直接注入し、授精させます。
当院の顕微授精では精子不動化のための添加物(ポリビニルピロリドンPVP)を使用せず、高分解高倍率で精子の形態を観察して、その中から特に元気な精子を選別します。
選ばれた精子はインジェクションピペットによって尾部を抑えて不動化し、卵子の細胞質内に直接注入します。また、紡錘体可視化装置を用いることで、顕微授精時の卵子の染色体の損傷を避けて最適なタイミングで顕微授精を行うこと(SL-ICSIと呼ぶ)が可能となり、良好な授精率・胚発生率が得られています。

胚盤胞培養(Blastocyst Culture)

受精した後、受精卵が着床前の胚盤胞の状態になるまで、体外で5~7日間培養します。
胚盤胞まで発育しないこともありますが、胚盤胞移植まで至れば着床率は初期胚移植の2倍以上です。特に卵管性の異常のある方や初期胚移植で妊娠に至らなかった方には極めて有効です。

アシステッドハッチング

アシステッドハッチングとは、受精卵が着床しやすいように透明帯を取り除く技術です。
当院のアシステッドハッチングは、着床率を上昇させるために、透明帯をすべて取り除きます。それは、一部に穴を開けたり薄くしたりするよりも、すべて取り除くことで着床率が明らかに高まるからです。

ガラス化凍結法(クライオトップ法)

受精卵を凍結させる従来の保存方法から、飛躍的に受精卵の生存率を上昇させたのが「ガラス化凍結法(クライオトップ法)」です。
当院が開発したこのクライオトップ法により、安全で保存期間にかかわらず胚へのダメージがなく、ほぼ全例、生存させることが可能となりました。
こうした凍結技術の発達により、余った胚を次の周期以降に活用することはもちろん、採卵周期の胚盤胞を一旦凍結保存し、次周期以降に移植することで、妊娠率が飛躍的に向上しました。
詳しくは培養部ページをご覧ください。

移植周期

胚移植

体外で育てた胚を子宮に戻すことを「胚移植」といいます。
まず、胚移植に必要な時間は5~10分ほどです。通常はカテーテルという細い管を用いて超音波画像を見ながら移植を行います。また、子宮の入り口からカテーテルが入りにくい方には、針で移植する方法もあります。
当院ではこの2つの方法を使い分けて、子宮の底部に確実に胚を移植します。何らかの理由で子宮内膜に問題がある場合は受精卵を凍結保存し、子宮内膜が良好な周期に移植します。

当院の胚移植は、経膣下超音波ガイド法にて行います。従来の経腹下の超音波では、膀胱に尿をためる(膀胱充満)必要があるため2人の術者が必要でしたが、経膣下では膀胱充満が不要となり、1人での施術が可能です。
医師は経膣下超音波による鮮明な映像を常にモニターしながら、独自に開発したカテーテルを用いて、最適な位置へ確実に胚を移植します。

当院では独自に2フレンチ(従来の2分の1以下の太さ)のカテーテルを開発し、素材も従来の硬いもの(テフロン)から非常に柔らかいもの(シリコン)に変更しました。操作性と柔らかさの間には相反する関係があり、通常カテーテルには一定以上の硬さが要求されるのですが、これを独自の技術開発で解決しました。

単一胚移植

1回の移植に1個の胚だけを移植する方法を単一胚移植と呼びます。
多胎妊娠は母体への身体的リスクが大きいため、2009年に日本産科婦人科学会より原則単一胚移植を行うべきとの見解が出されました。当院ではそれ以前の2007年より、すベての移植において1個の胚だけを子宮に戻す治療を行っております。

ホルモン補充周期(HR周期)胚移植

凍結胚を移植する場合、子宮内が着床しやすい環境になっていることが重要です。
当院では子宮内膜の状態を良くすることはもちろん、正確にホルモン値をコントロールすることにより、着床に最適なタイミングでの胚移植を行います。

妊娠判定

胚移植後は定期的に来院し、子宮に戻された胚が無事に着床、発育しているかを確認します。
胚盤胞移植であれば1週間後、分割胚移植であれば12日後に来院し、まずホルモン検査による妊娠判定を行います。着床していれば、βhCGの値が陽性となります。
その後、妊娠5週前後に超音波検査(エコー)で胎嚢の確認を行い、妊娠7週で胎児の心拍を確認し、9週目に超音波検査で元気な赤ちゃんの姿が確認できれば、当院での治療は卒業となります。

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