Our Clinic 各部門のご紹介

研究開発部・臨床遺伝診断部

~より安全で効果的な治療を患者様へお届けしたい~

研究開発部は、不妊治療分野において、より安全で体にやさしい効果的な治療を患者様にお届けすることを目的としています。研究室にはタイムラプスインキュベーターや蛍光位相差顕微鏡、解析機器などを備えており、新しい技術の開発ならびに治療法の確立のための様々な研究を行っています。また、培養液や凍結液など、不妊治療に関連する製品や器具の新規開発・改良も行っております。
メンバーは8名の研究員[医師・医学博士1名、博士(農学)2名、修士(理学)1名、学士(工学・生活環境学)2名、不妊症看護認定看護師1名、認定遺伝カウンセラー1名]からなり、それぞれが熟練した技術ならびに専門知識を有しております。また2011年、石川県にマウスの動物実験施設「永遠幸メディカルリサーチセンター」を設立し、当院動物実験委員会の承認のもと基礎研究を行っています。

得られた成果を一日でも早く皆様の元へお届けできるよう、日々研究に励んでおります。

現在の研究内容

新規胚培養液の開発

卵子が精子と出会ってできた受精卵は、そこから「胚」と呼ばれます。胚は胚移植までの期間、培養液内で育てられていきます。しかし、一部の胚は途中で発育が悪くなってしまい、胚移植できないことがあります。我々は新規胚培養液の開発により、より質の高い胚へと発育させることを目指しています。

新規凍結保存法の開発

凍結胚移植プランの場合、胚は胚移植までの間、-196℃の液体窒素内で凍結保存されます。当院における凍結融解後の胚の生存率は99%ですが、従来よりも、より胚に対してやさしい凍結保存法の開発を目指しています。

自然周期、低刺激周期の利点について

当院の治療の特色は患者様にやさしい自然周期、低刺激周期での採卵です。自然周期、低刺激周期の利点について、学術的に検証しています。

主な研究成果

着床期におけるプロラクチンの働きの解明

妊娠維持に重要な役割を果たすプロラクチンが、ヒト胚および着床においてどのような働きをしているかを検討しました。その結果、プロラクチンの受容体は胚盤胞で高発現しており、培地へのプロラクチン添加は胚盤胞の接着能を向上させることが明らかとなりました。

K.Ezoe, et al.
Prolactin receptor expression and its role in trophoblast outgrowth in human embryos. Reproductive BioMedicine Online. 2021.

新規胚評価法の確立

タイムラプスインキュベーターを用いて胚を連続観察することにより、初期胚発生における新規事象を見出しました。これらの事象は、胚盤胞への発生成績と強く相関することが明らかとなりました。

K. Ezoe, et al.
Prolonged blastomere movement induced by the delay of pronuclear fading and first cell division adversely affects pregnancy outcomes after fresh embryo transfer on Day 2: a time-lapse study. Reproductive BioMedicine Online. 2019.

K. Ohata, et al.
Blastomere movement post first cell division correlates with embryonic compaction and subsequent blastocyst formation. Reproductive Biology and Endocrinology. 2019.

K. Ezoe, et al.
Cytoplasmic halo characteristics during fertilization and their implications for human preimplantation embryo development and pregnancy outcome. Reproductive BioMedicine Online. 2020.

新規凍結融解液の開発

細胞のエネルギー代謝に関わる脂肪酸を添加した融解液の効果を検討しました。その結果、新規凍結融解液を用いて分割期胚を凍結融解した場合、胚盤胞への発生率が向上し、さらに胚盤胞のグレードも向上することが明らかとなりました。

K. Ohata, et al.
Effects of fatty acid supplementation during vitrification and warming on the developmental competence of mouse, bovine and human oocytes and embryos. Reproductive BioMedicine Online. 2021.

その他、当院の業績についての詳細は「学会発表・論文」「オプトアウト」のページをご覧ください。