Our Treatment 不妊治療の基礎知識
治療方法
タイミング療法・人工授精・体外受精があり、必ずしもステップアップしていくわけではなく、不妊原因によって高度な治療が必要な場合があります。
どの検査を受けても異常なしと診断されたカップルは、自己タイミングですでに妊娠しているはず。それなのに妊娠しないということは、原因がないということではありません。現在の医学では発見できない原因が隠れていると考えられます。
タイミング療法
基礎体温や排卵検査薬を用いて排卵日を予測し、排卵の少し前から排卵直後までの妊娠しやすい時期に2~3回性交を持ちます。
卵子の寿命は排卵後24時間で、精子が女性の体内に入ってからの寿命は72時間あるとされています。そのため、排卵前に精子が待機して卵子をむかえ入れる方が受精する確率が高まります。
最も妊娠しやすい時期は排卵日前後であり、採血でホルモン値を測定+超音波で卵胞の発育を診ることによって、より正確な排卵日を推測することができます。
人工授精
AIH…配偶者間(夫)人工授精
タイミング療法で妊娠に至らなかった、性交障害(膣内射精ができない)、精子の子宮内への侵入が妨げられる場合(頸管粘液の分泌が少ない)の方が適応になります。
ご主人に精液を採取してもらい、そのまま子宮に注入する方法もありますが、密度勾配遠心法やSwim up法で洗浄・濃縮された精子浮遊液をカテーテルにて子宮内に注入することが一般的です。
洗浄することで、精液が清潔になり精子の動きを妨げる物質や白血球、脂肪球、未熟な精子や死んだ精子、奇形の精子を取り除くことができ、より妊娠率が高くなります。しかしながら、人工授精での妊娠率は5~20%とあまり高くありません。
体外受精
何らかの原因で精子と卵子が出会えない方の妊娠手段であり、卵管でのプロセスをすべて体外で行います。
女性の卵巣から卵子を採取し(採卵)、体外で精子と出会わせ(媒精)受精した胚を子宮に戻します(胚移植)。
まず、卵子を採取する採卵から行いますが、採卵周期は自然周期法・低刺激法・調節卵巣刺激法に分かれます。
採卵周期
調節卵巣刺激法
薬剤投与によってたくさんの卵胞を育て、排卵をコントロールし、効率よく採卵していきます。この治療法は、複数の卵子が採れることもありますが、卵巣への負担や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあります。
OHSSとは
排卵誘発剤の使用により卵巣が過剰反応を起こし、卵巣の腫大、全身の脱水、腹水、胸水の貯留を認め、血栓閉塞症や多臓器不全などにより重症化すると、生命を脅かしかねない疾患です。
症状としてお腹が張る、尿量の低下、急激な体重増加、腹痛、息苦しさがあります。
自然周期法・低刺激法
必要最小限の排卵誘発剤のみを使用し、薬剤で排卵をコントロールせず、育ってきた卵子を排卵直前に採卵します。
この治療は薬剤による負担が比較的少なく身体に優しい治療といえます。
なるべく排卵直前の成熟卵を採卵したいので、排卵日の推測がとても重要です。
排卵してしまっては卵子は採れませんし、また早すぎても未熟卵のこともあります。
ただ排卵日は月経周期によって異なり、推測するのはとても難しいことです。排卵のベストなタイミングを決めるのには、採血と超音波で卵胞の測定が必須となります。
排卵日は人それぞれ異なります。
KLCでは、365日開院し貴重な妊娠のチャンスを逃さないよう診察しています。
胚移植
「移植」というと心臓移植などの臓器移植を連想するかもしれません。
体外受精での「胚移植」はそれとは違い、胚(受精卵)をそっと子宮内膜においてくることです。胚がちゃんと子宮内に入ったか、内膜を傷つけていないか、簡単そうですが実はこれはとても重要なことです。
KLCでは経膣超音波でモニターしながら、細心の注意を払い移植をしています。膣から挿入したカテーテルを慎重に進め、子宮内膜に移植する瞬間を患者様はリアルタイムでご覧いただけます。
新鮮胚移植
採卵したその周期に、受精卵を子宮に戻します。
採卵後2~3日目(受精卵が分割胚になった頃)もしくは5日目(受精卵が胚盤胞になった頃)に移植します。
凍結胚移植
胚をいったん凍結して保存、別の月経周期にその胚を融解(解凍)して子宮に戻す方法です。「自然排卵周期」と「HR(ホルモン補充)周期」という2つの方法があります。
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自然排卵周期
排卵前に受診し、排卵日を確認して、排卵して2~3日目(分割胚)、もしくは5日目(胚盤胞)に移植します。
基本的に薬剤は使いません。 -
HR(ホルモン)補充周期
ホルモンをすべて薬剤でコントロールする周期です。排卵が起こらず、基本的に卵胞も育ちません。基礎体温も変動せず一定を保ちます。薬剤でコントロールするため、定期的な通院が必要です。
この治療は、卵巣機能不全・月経不順・無月経・黄体機能不全の方が対象です。
単一胚移植
多胎妊娠を防ぐため、子宮に戻す受精卵は1個に限定しています。
受精卵が複数育った場合、残った胚(余剰胚)は無駄にすることなく、凍結保存を行います。着床環境の良い最適なタイミングで胚移植することができます。