Incubation Room 培養室のご案内

培養Q&A

採精するときの注意点はありますか?
精液中に雑菌が混入するのを防ぐため、よく手を洗い、容器の内側に直接触れないようにしてください。コンドームは内側に精子に良くない成分が含まれている場合がありますので避けてください。詳しくは来院時にご説明いたします。
採精前の禁欲期間について気を付けることはありますか?
前回の射精から長く期間が空いてしまうと、濃度は上がることもありますが精子の運動率は大幅に低下します(死んでしまう精子が増えるため)。逆に期間が短すぎると濃度が回復しない可能性があります。個人差はありますが、バランスの良い採精には3-5日くらいの禁欲期間をおすすめしています。
採卵時の採精方法について教えてください。

以下の3つの方法がございます。

  1. 採卵当日にご主人様も来院していただき院内で採精する
  2. 採卵当日に院外であらかじめ採精していただいた精液を奥様(ご主人様でも可)が持ち込む
  3. 事前に来院して凍結した精子を使用する
当日院内で採精する場合、どこでどのような容器に採精するのでしょうか?
院内にはプライバシーの保たれた専用の採精室が複数ございます。採精時には滅菌された専用カップとTVのリモコンをお渡しいたします。
採精室の写真
採卵時の院内採精の際、夫は採精後すぐ帰宅可能ですか?
早めにご帰宅希望であれば、採精時に培養窓口へその旨をお伝えください。精液の状態を確認し、問題がなければお帰りいただけます。ただし、精液の検査結果によりしばらくお待ちいただくこともございます。
当日採精と持ち込み精子で何か違いはありますか?
当日採精と持込精子で大きくデータが変わる事は基本的にありません。ただし、持ち込みの際に冷やしすぎたり温めすぎたりといった大きな温度変化や、採精後時間が経ちすぎた場合(目安:2時間)、運動率が下がる可能性がありますのでご注意ください。なお当院では、温度変化を防止するために精子専用の保存容器シードポッドのご使用をおすすめしております。
精子の正常形態精子率が低いと言われましたが大丈夫でしょうか?
WHOの基準では正常形態精子率4%以上は正常範囲とされています。ただし検査機関によって独自の基準を設けている場合もあるので、一概には言えません。詳しくは来院時にご相談ください。
精子のデータを改善するためにできることはありますか?
精子の濃度や運動率に影響を与える因子として、喫煙や肥満、運動・睡眠などの生活習慣があげられます。まずは禁煙していただくことが重要で、運動によるダイエットも推奨されます。食生活も重要で、栄養バランスの取れた食事をすることは精子データ改善への近道となります。
また精巣の温度が上がると精子に悪影響があります。風通しの良い下着を選んだりサウナや長風呂を避けるなど、熱がこもらない対策をとりましょう。
さらに加齢による酸化ストレスを受け、精子のDNAに損傷が起こることがあります。抗酸化作用を持つサプリメントを摂ることで一定の効果が期待できます。(当院ではメネビットをおすすめしています)
数年前に凍結した精子を使いたいのですが、大丈夫でしょうか?
凍結精子は-196℃の液体窒素タンクで保存されています。使用するとき以外に液体窒素から外に出すことはいたしませんので、精子の質が劣化することはありません。
夫が風邪をひきました。薬を飲んでいるのですが大丈夫でしょうか?
体調不良が精子データに影響することはあり得ますが、風邪薬やアレルギー薬が治療に大きく影響を及ぼすことはありません。ただし抗がん剤や脱毛を抑える薬など一部の薬はその限りではありませんので、服用している薬がある方は来院時に医師または薬剤師にご相談ください。
通常の体外受精と顕微授精、どちらがいいのでしょうか?
通常の体外受精は当院ではふりかけ法ともいい、卵子と精子を同じシャーレに入れて自然に受精するのを待つ方法です。顕微授精は卵子の細胞質に直接細いガラス針を刺して精子を一匹だけ注入する方法です。どちらの方法にするかは当日の卵子や精子の状態、それまでの治療歴を考慮して決定します。
顕微授精が必要と思われる方に対してはその理由についてご説明のうえでご提案を行いますが、顕微授精を希望されない方については通常のふりかけ法による受精を実施いたします。その場合、受精率がかなり低下いたしますのであらかじめご了承ください。
ふりかけ法では受精しないと言われましたが、他にどのような方法があるのでしょうか?
ふりかけ法の受精率は70-80%です。この方法で受精しづらい方は、精子を卵子の細胞質内に直接注入する顕微授精(ICSI)を行います。
また当院では、ふりかけ法で受精しなかった卵子に対し顕微授精を実施するレスキューICSIを行っています。
詳しくはコラム:受精しなかった卵とは?レスキューICSIとは?をご覧ください。
顕微授精をすれば必ず受精するのでしょうか?
残念ながら、受精率は100%ではありません。卵子や精子の状態によってはどうしても受精反応が起こらなかったり、異常受精になってしまうことがあります。当院の受精率は85-90%です。
未熟卵が取れた場合でも、体外受精に使用できるのでしょうか?
未熟卵でも、培養して成熟卵になれば体外受精に使用可能です。残念ながら成熟せず成長が途中で止まってしまうケースや、成熟しても時間がかかりすぎたため状態が悪く培養中止になるケースもあります。
分割卵より胚盤胞で移植する方が妊娠率が高いのですか?
分割卵移植より胚盤胞移植の方が妊娠率は高い傾向にあります。しかし、力のある卵だけが胚盤胞に成長していくため、培養途中で成長が停止してしまう卵もあります。全ての卵が胚盤胞まで成長するわけではありませんので、移植まで至らないこともあります。
卵のグレードとはなんですか?
分割が進んだ卵の状態を一定のルールにより評価したものです。
評価の仕方は様々ですが、グレードの良い卵ほど妊娠率は高くなる傾向にあります。
詳しくはコラム:卵のグレードとは?をご覧ください。
卵の凍結とはなんですか?
卵が複数個採卵できた場合、一度に移植はできませんので、培養後に胚を凍結し専用タンクに保存しておきます。凍結胚を融解した時の生存率は99%以上です。
数年前に凍結した卵を移植したいのですが、状態が悪くなっていませんか?
凍結卵は-196℃の液体窒素タンクで保存されています。使用するとき以外に液体窒素から外に出すことはいたしませんので、卵の質が劣化することはありません。
アシステッドハッチングとはどのようなものですか?
アシステッドハッチングとは、透明帯(卵の殻にあたる部分)の一部を薄くしたり穴をあけたりして、中の細胞が孵化しやすくなるよう手助けをする方法です。施設によって様々なやり方がありますが、当院ではレーザーを用いて透明帯を全て除去しています。
PGTAとはなんですか?
成長した胚の一部を採取して、染色体数が正常かどうかを調べる検査のことです。
染色体数の異常が原因の流産を防ぐことができると期待されています。
「着床前胚染色体異数性検査」とも言います。
詳しくは着床前診断をご覧ください。
培養士と直接お話して、卵のことなど聞くことはできますか?
はい、可能です。当院では採卵終了後と移植を行う前に必ず、培養士から卵の状態について写真をお見せしながら説明させていただく時間を設けております。さらに患者様のご希望があれば、受精方法の詳しい説明や凍結中の胚のグレードなどのお話しもさせていただきます。
また培養結果やグレードについての質問は、培養室直通の電話番号にお問い合わせいただければご説明することが可能です。
とにかく色々な事がわからないのですが…。
卵や精子のことに関しては我々培養士が全力でサポートいたしますので、ご安心ください。
来院の際に遠慮なくご相談ください。